温泉話②

集中豪雨のことは全国のテレビや新聞で大きく報じられ、SNS上でも被害の状況がリアルタイムで流れた。

昔からよく知っているホテル・旅館が浸水した様を見た時はショックだった。

心乃間間の場所では幸い土砂崩れもなく、工事中の建物には何の被害もなかったが、

大雨の影響で掘削中の地中に水が入り込んでしまった。

今まで掘っていた穴は崩れてしまい、そこから大量の水が溢れ出ている。

またふりだしに戻った。

しかも水が収まるまで掘削再開できない。

このままだと建物の工期にも影響が出てしまう。

 

「温泉は諦めるか・・・」

 

温泉旅館としてオープンするはずの地に温泉が出ない。

致命的だが、計画全体の方針を転換する覚悟を決めていた。

しかし、掘削を依頼していた業者からは、「最後までやらせて欲しい」と申し出があった。

そのプロ根性と熱意が嬉しく、ワタクシもできれば皆さんの苦労を無駄にはしたくなかった。

その時点でどのくらい可能性があったのかわからないが、

掘削中断の要因だった水の流出が収まると、一縷の望みを託す思いで掘削の再開を決意した。

 

DSC_0066

 

温泉の工期が延びるため、建物の工期も現場会議で細かく調整した。

オープン日も確定できず延期となり、色んな方々に御迷惑をおかけしたが、中途半端なままオープンはできない。

「妥協」という言葉は自分の中で禁句としていた。

 

日差しの強い真夏の猛暑日も、シンシンと降る雪に手が震える日も、

毎日根気よく作業を続けてもらった。

そしてその年が明ける直前、かかってきた一本の電話にワタクシは飛び上がって喜んだ。

「目標の600メートルに達しました!」

 

(続く・・・)

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旅館 心乃間間 館主 藤江甚午

旅館 心乃間間 館主 藤江甚午

熊本駅前にて大正13年から続く「藤江旅館」の5代目。 2008年には九州新幹線開通に伴う道路拡張工事の影響で、熊本駅前での営業を一時休業。 約5年かけて、阿蘇山を一望できる新天地<南阿蘇久木野>にて温泉旅館「心乃間間~konomama~」をオープン。 趣味は旅行、グルメ、アニメ、漫画、バイク(2008FXDL)でソロツー。 好きな食べ物はラーメン、鶏刺し、ホルモン系。
旅館 心乃間間 館主 藤江甚午

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